立夫文庫のブログ

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☆お江戸の中期、箍のゆるんだ政経にメスを入れた賢将軍は現代でも持て囃される存在です。

題名:吉宗風雲録
    整理番号:E-11            
            ジャンル:人伝
       読んだ時:平成7年  57才  
            著者:小山龍太郎
            出版社:廣済堂文庫
内容・感想:
江戸時代も中だるみの、1700年代に入ると、
ノーコントロールの状態で経済が一人歩きしだして、
どうしようもなくなってきました。


折しも大御所家康以来の直系のお世継ぎが途絶え、
尾張、紀州、水戸の御三家から第八代将軍を
抜てきせねばならないこととなりました。


新之助(後の吉宗)は紀州藩主光貞の四男坊として、
結構自由奔放な生活をしておりましたが、
兄達が次々と死に、やがて父光貞が他界すると、
紀州藩主となり、さらにトントン拍子に徳川幕府の
最高峰へと昇り詰めました。


しかし、日本で一番偉い人になって、
初めて知るその大変なこと・・・。
けっして、はたから見るような羨望の地位では
ありませんでした。


特に幕府の逼迫した財政の立て直しが、焦眉の急。
のんびり大奥で美女に囲まれ、美酒に酔っていてばかりも
いられません。
自らも、倹約々々で、率先垂範の毎日でありました。


身長180cm、体重100kgの巨漢にして、
明析なる頭脳の持ち主であって初めて、
この難局を乗り切れたのでありましょう。


当節、NHKテレビの大河ドラマでは、目下「吉宗」が
毎日曜好評放映中でありました。
そして、去る10月27日、講談師三代目神田松鯉の
「リストラ将軍吉宗」なる演題の講釈を聴いてきました。
西田敏之演じるところの上様は、今や大人気です。


この小説「吉宗風雲録」は、活劇調に面白く内容を
もりあげています。
先代家宣公の、御台所様であった月光院は、
実際にも兎角スキャンダルの多かった人で
あったようですが、彼女が踊り子で「小づま」と名乗ってた頃、
あるお武家様に手ごめにあいそうになるのを、
新之助が助けたきっかけで、親しい間柄になったとか。


一大スクープが、月光院のお忍び歌舞伎見物行です。
大奥の筆頭年寄、絵島に手引をさせ、歌舞伎の人気役者達を
巻き込んで、尾張の万五郎(後の尾張藩主宗春)を相手に
ご乱行を繰り返す未亡人の月光院。
しかし結局は露見して、絵島が全ての罪をしょい込んで、
遠島処分となったのでした。
ついに、絵島は二度と江戸の地に帰ることは
ありませんでした。