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☆美しい女性には魔性がある・・・義貞もイチコロだったようだ

     題名:新田義貞  上下巻
       整理番号:E-02
            ジャンル:人伝       
            著者:新田次郎
            出版社:新潮社


内容・感想:
新田小太郎義貞は正安二年(1300年)
現在の群馬県で生まれた。
あまた波乱を経て、延元三年(1338年)
現在の福井県は九頭龍川のほとりで若くして残念な戦死を遂げた。


戦い上手ではあったがコケティッシュな女性の魔力には弱く、
京都で見初めた勾当内侍(こうとうのないし)にかなり原因して、
ついには足利に追われていくあたり、
木曾の英雄義仲によく似ている。


彼は腐敗した鎌倉時代から室町時代への橋渡しの役割を見事に、
そして正義感に溢れて推進した。
戦時中、帝国日本のもとでは楠正成と共に新田義貞の業績は
朝廷への忠臣の鏡であった。


彼の家は代々新田の庄の豪族で、近隣と田に引く水の利権を
めぐり争いが絶えなかった。
渡瀬川をはさんで足利の庄には、彼の四つ年下の
ライバル尊氏(たかうじ)が居た。
足利家も新田家も吾が高野家と同じ鍋蓋の家紋だ。
だからとても親近感を覚える。


伝説としてエピソードを二つ。
群馬から鎌倉に攻めのぼる途中、府中の分倍河原、
小手指原で幕府軍と合戦をしたが、今の府中税務署の所に
幕府の米蔵があった。
数百年を経ても尚、同じ場所に租税機関が有るのは珍しいと思う。


更に攻め上って北条を本拠鎌倉に追いつめ、いざ総攻撃という時、
黄金の太刀を海に投じて「海神われに味方し給え」と
祈願して武運を得て勝利を納めることが出来たお話は有名である。