立夫文庫のブログ

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☆天皇の落しだねの一休禅師、民衆から愛されたそのパフォーマンスの数々。

 題名:一休さんの門  上下巻
    整理番号:E-04
            ジャンル:人伝         
            著者:川口松太郎
            出版社:講談社


内容・感想:
講談社が出版してるんですから、尤もでしょうが、
流れるような筋運びは、まさに講談調で、とても読み易いです。


一休さんちの門は、常に開かれていて誰でも自由に
入って来られます。
又、門の外の世間の事もよく聞こえて来れます。


後小松天皇の落し種と言うことなので、
厳しい世の中でありながら生活には何不自由なく
暮らせる身分にあったにも拘らず、
敢えて粗衣を纏い、巷を俳回した一休。
まさに民衆の見方でありました。


酒が好きで、なまぐさ物が好きで、
ちゃんと子供もつくっている一休。  
堕落坊主と言われても、一向に無とんじゃく……
自分に忠実ならよい、自然人として無理のない生き方を
するのがよろしいと云うことです。


当時の坊主達は、陰日向のある生活をしているのが
数多く見受けられ、妾をこそこそと囲いながら、
表面ではきらびやかな袈裟を着て威厳を保っているのが
多々有でした。


一般大衆の飢餓をよそに坊主と云う特権階級の上に
あぐらを掻いて安穏なる生活を送らんとする連中が目だち、
一休はそんな連中を得意の狂歌でこきおろしています。
単に人を批判するのは易しいが、一休の偉いところは
そのパフォーマンスにありました。


例えば粥施行であり、随所にみられる機知に富んだ
交渉事であります。
「一休さんの門」はこの上下巻で終わりますが、
晩年を書いた「一休さんの道」上下巻へと続いてます。