立夫文庫のブログ

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☆ 夜叉が池に棲む霊は、名を白雪姫と云う美しい竜神なそうな。

             題  名:夜叉が池・天守物語
            整理番号:B-66        
            ジャンル:日本文学
      読んだ時:平成30年 80才  
            著  者:泉 鏡花
            出 版 社:岩波文庫


 内容・感想:
ジワーッと背筋に寒気を感じる鏡花先生の作品は、
文学的にも高い評価を博しています。
そのまま舞台で上演出来る、戯曲風に仕上がっています。


「夜叉が池」・・・
鐘撞き男の権助は、日に三回決まって鐘を撞く。
実はこの男、本名を萩原晃と申して、一昨年神隠しの如く
故郷から姿を消した人物でありました。


一方、夜叉が池の主の白雪姫は、その昔竜神となりて
村に水害をもたらしていたものを、或る行者の行力で
池に封じ込められていたのです。
その際の約束事で、日に三度鐘を撞く事になりました。
もしそれを怠れば、忽ち竜神となって再び水害を起こす
と云う訳です。


何故、晃氏は鐘撞き男に成らねばならなかったのか。
そして村人と如何に対峙していくのか。
はたまた、水害は再び起こってしまうのか。
・ ・・等々、奇想天外、波乱に満ちた物語です。


「天守物語」・・・
播州姫路の白鷺城の五層の天守閣の最上層は、
妖にして怪なる者の棲む別世界。
そこは、今代の人は近づかない、聖域でありました。
その五層の主、富姫の元に城主播磨守の使いで昇った
図書之助。


図書之助の誠実な言行に、恋心を抱く美しき富姫。
今代と天守を行き来する図書之助。
果たして秘境の天守はどうなっちゃうのか・・・


著者の鏡花は加賀の出身で、若くして上京し牛込の
尾崎紅葉に師事します。(16才)
牛込は神楽坂に近い。
イッパシの作家に成長した25才の鏡花は、なかなかの
ハンサムボーイであったようで、この頃お酒の味を覚え、
体調を崩し伊豆に静養した際介抱してくれた芸者のすずと
同棲を始めます。・・・云々。


以上、維新後150年記念読書の一冊でした。