立夫文庫のブログ

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☆  初期のお江戸の、気風のいい男の中の男、昨今の若者に幡随院長兵衛の爪のあかを煎じて飲ましたいねぇ

題  名: 俠 客 上下巻
内容・感想: 整理番号:B-77        
ジャンル:日本文学
読んだ時:令和 3 年 83 才    
著  者: 池波正太郎
出 版 社: 新潮社


内容・感想 :
流れるような痛快なお話。
池波節とも言える筆致に酔いしれてしまいます。
解説者が言うように、幡随院長兵衛の物語は歌舞伎や講談でも
あまりにも有名ですが、長兵衛の一生を、通じて描いているこの本は
立夫文庫のジャンルとしてEの「人伝」に分類してもいい位いです。
勿論あくまで小説なので、史実であるかは知る由もないですが。
池波さんは資料を良く調べ、現地に赴いたりしてよく研究してると
思います。


ここで一寸、池波さんのプロフィール・・・
彼は大正12年(1923年)浅草の今戸に生れ、平成2年67才の若さで
急性白血病で亡くなっております。
この「俠客」は昭和44年、46才の時のリリースです。
昭和44年と云えば当時はまだ都電があった頃なんですね。
173ページにこんな記述があります。
「現代の中央区日本橋人形町の都電停留所の北東一帯、そこが
 三百数十年前の”元吉原”であったのだ。」


幡随院長兵衛が生きた、江戸時代の初期はまだ徳川幕府の施政が確立して
おらず、華やかな江戸の町も平気で人殺しが頻発する状況がありました。
そんな中、戦国時代徳川の為に功績のあった所謂旗本達が、世の中平和に
なると手持無沙汰を持て余していろいろ騒ぎを起こしていました。
これを「旗本奴」といいます。
それに対して幡随院長兵衛を頂点とする「町奴」。


旗本奴が横暴を奮うのを、長兵衛たちが「およしなせぇ」と割って入り
旗本奴か゛云う事を聞かないと素手でパンチを食らわせたりしてたそうです。
そしてついに二大奴の激突寸前の状況となった時、幡随院長兵衛は
殺されることを覚悟の上で、単身水野十郎左衛門の屋敷に行きます。


男、幡随院長兵衛の肝っ玉の据わった素晴らしさ。
やると思えばどこまでやるさ。
これが男の魂じゃないか・・・・・