立夫文庫のブログ

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土性骨内閣の物語。

題 名:男子の本懐 
       整理番号:E-21 
            ジャンル:人  伝
      読んだ時:平成29年 79才   
            著 者:城山三郎
            出版社:新潮文庫          


 内容・感想:
昭和4年内閣総理大臣に成った浜口雄幸と、その大蔵大臣の
井上準之助の物語です。
この二人は二人三脚で、金解禁と云う大課題を実行に移しました。
そして、いずれも凶弾に斃れたのであります。


この二人は筋金入りの人物で、とても今の政治家たちは、
その足元にも及ばない熱血漢と言えましょう。
それは、どのような意味で違うのかと云うと、
一番やらなくてはならないテーマを、
避けて通っているのです・・・今の政治家は !!


現在、一千兆円を越す国債残があるのを、真剣に減らす
算段をするどころか、逆に増やすばかりです。
借金をすれば利息が掛かります。
その利息を払うために国債を更に発行するという悪循環です。


我々の子々孫々の世代にそのツケを回して、
将来どうなるのでしょうか。
恐らく、その破綻の極みは、徳政令でしょう。


話が横道に反れましたが、浜田内閣は「男の本懐」と叫んで、
金解禁の大鉈を振るったのです。
何と勇敢な事でしょうか !


人間の英知は、先ず火を使った事です。
その次の英知が金本位制だと言われています。
その制度が第一次世界大戦で、各国とも維持できなくなって、
金輸出禁止措置を暫定的に採らざるを得なかったのですが、
他の先進国が解禁する中、日本はタイミングを誤って
しまった様でした。


それを断固実行に移したのです。
それはもう、当時大変な騒ぎでした。
公務員の給料はカットするは、軍事予算は大幅に削るは、
国民には将来の安定のために臥薪嘗胆を奨励するは・・・。


西園寺公望は明治の人ながら、昭和のこの金解禁の時代、
元老として、内閣を指名するほどの実力者に成っていました。
当時は明治維新以来の名残の、元老院と云うものがあり、
政治に大きな力を持っていたり、平成29年の現在とは、
だいぶ制度が違っていました。


この昭和の初期と言う時代は、明治以来の治安の悪さが、
まだまだ続いており、この時期暗殺された著名人は、
浜口雄幸、井上準之助の他に、犬養毅、田中義一、
団琢磨などなど、気に食わないと直ぐ、殺っちまえと云う輩が、
ウヨウヨしてたようです。