立夫文庫のブログ

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☆フランスの貴族をギロチンから救う、スーパーマン

   題 名:紅はこべ
   整理番号:D-14             
            ジャンル:外国文学
      読んだ時:平成15年 65才   
            著 者:バロネス オルツィ/訳者 西村孝次
            出版社:創元推理文庫


 内容・感想:
このところ、リバイバル読書が続いてます。
つまり、若い頃読んだ本を懐かしく読み返しているのですが、
驚いたことに内容をほとんど覚えておりません。
「赤毛のアン」「二都物語」そしてこの「紅はこべ」。
人間は適当に忘れるからよろしいのでしょうね。
だから、同じ本を何度も、フレッシュな気分で読める
というもんです。


ところで、「二都物語」と「紅はこべ」は関連性があります。
「二都物語」は十九世紀中ごろに書かれたものですが、
「紅はこべ」は二十世紀初頭に発刊されております。


「紅はこべ」の作者は、明らかに「二都物語」の影響を
受けていることが、読んでると感じられます。
テーマは、もち、ドーバーを挟み、フランス革命当時の、
イギリスとフランスが舞台で、スリルとサスペンスに満ちた
その展開は、正に、読み出したら止まりません。


「紅はこべ」の作者のバロネスオルツィーとは、
イギリスの女性です。
だから自国優越、フランス劣等視です。
現代でもそうですが、結構、英と仏は仲が良くないみたいです。


もっとも、当時、フランスで貴族がボコボコとギロチンに
掛けられているのを、お隣で見ているイギリスの貴族は
いい気分でなかったと思いますね。


フランス共和政府の悪魔のような毒牙から、
少しでも、哀れな貴族を救おうとする、紅はこべのような
スーパーマン的存在の発想は、イギリス貴族の思いだと
云うことですね。


難しい本を読んだ後など、口直しに読むには、
お勧めの一冊ですが、
唯、日本語の訳文が、ちょっと堅苦しくて、
読むのにスムースさを欠くので、要注意です。
D-13の「二都物語」も読んでね。