立夫文庫のブログ

「立夫文庫」にようこそ! どうぞごゆっくりご覧下さい。
当ブログを、楽しく、為になる読書のナビゲーターとして、ご活用下さい。

☆そう云えば手塚治虫のマンガに「リボンの騎士」と云うのがあったっけ。

             題名:とりかえばや物語
    整理番号:B-22             
            ジャンル:日本文学
      読んだ時:平成10年60才 
            著者:不詳  訳者:中村真一郎
            出版社:筑摩書房


内容・感想:
王政末期の退廃した時代の上流社会の内部、
そんな描写がとてもよく出ていて、面白いと思います。


訳者が云ってますように、源氏物語の雰囲気を
模倣しているようですが、格が違うという感じがします。
紫式部の源氏物語が平安時代中期(西暦1000年頃)で、
とりかえばや物語は1190年頃書かれたものらしいです。


時代の背景としては、平氏が滅びて頼朝が台頭した頃です。
この作者もやはり、女性だと思いますね。  
叙述が非常に細やかだし、それに女性の味方という書き方で、
男というのはチョウチョのように、
女のしりを追いかけてばかりいて困ったもんだと
云うタッチです。


読んでいて一つ不思議に思ったことがあります。
子供のうちは、男と女が入れ替わっていても
判らないでいられると思いますけど、成人してからは、
バレないのはおかしいと思います。


元、尚侍(ないしのかみ)の大将が逢引しているのを
盗み見た中納言が、帰り掛けに大将の裾をおさえて
ひきとめる。
そのうちしだいに朝になり、大将の髭のあたりが
黒ずんでいるのに気が付いた・・・と云う下りがあります。
(221ページ)


中納言が知っている大将は女であるのに、
おかしいと思う訳ですが、このような異常なことは
現実ならもっと赤裸々だろうし、すぐ判ってしまいそうな
ものです。
だからやはりおとぎ話だなぁ~と思います