立夫文庫のブログ

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☆輪廻転生の不思議な世界に、貴方をご案内します。

            題名:深い河
    整理番号:B-17                
            ジャンル:日本文学
      読んだ時:平成 8年58才   
            著者:遠藤周作
            出版社:講談社文庫


内容・感想:
丁度今、この遠藤周作の{深い河}を読み終わったところです。
平成8年9月29日。
そしたらなんと、テレビのニュース速報で遠藤氏死亡の字幕が
流れております。
行年73才。
若い頃重い肺病を患っているので、
最近の日本人としては早死です。


僕は彼の書いた物が好きで、これまでにずいぶん
読んできているだけに、この報に接し、
感慨ひとしおのものがありますし、近作のこの本を
読み終わったばかりというのも何か霊感を感じざるを得ません。
というのは、この本のストーリーに、
かなり霊的要素が取り入れられているのです。


磯部氏の妻が、癌で死んでいく臨終のベッドで、
「私、必ず生まれ変わるから、きっと探しだしてね、約束よ。」
と云ってます。


磯部氏は今までに、宗教とか、霊などというものを
信じた事のない男でしたが、妻への未練からか、
その道のことをいろいろ調べ、アメリカはバージニア大学の
研究班の情報をもとに、インドへ転生の妻を探しに出かけます。


女神チャームンダーは飢餓に苦しみ、さそりに噛まれながらも、
そのしなびた乳を飢えた子らに与えています。


濁ったミルク紅茶のようなガンジスの流れ・・・
そのほとりの火葬場。
そこで焼かれたヒンズー教徒の骨は、聖なる河ガンジスに流され、
来世は極楽浄土に転生することが約束されます。


しかしすぐその傍らでは教徒が沐浴をしています。
何とも奇妙な取り合わせです。