☆今時の若い連中は、吾一の爪の垢を煎じて飲むといい
題 名:路傍の石
整理番号:B-46
ジャンル:日本文学
読んだ時:平成23年 73才
著 者:山本有三
出 版 社:岩波書店
内容・感想:
「こないだ、寄席にいったら、噺家のやつ、ひどいことを云やがった。
先生と云うのは、まづ生きてるってことだと、ぬかしゃがった。」
「するてぇと先生、 生徒ってものは、いたづらに生きてるってことに、
なりゃしませんか。」
四八六頁の記述ですが、おもしろい。
吾一という、貧しい家庭に生まれた一人の少年が、
苦労をしながら何とか出世していく過程で、しかし、志は常に高く、
くじけず頑張っていきます。
昔ながらの沈んだ暗い世相の中、必死に生きる様子がとても感動的です。
そしてその、合い間合い間に作者の社会への批評、思想が語られて
おります。
昭和12年に書き下ろされたころは、未だ大丈夫だったかと思いますが、
「新編 路傍の石」が出た16年頃になりますと、
思想的にだいぶヤバイところがあったかと思います。
この本は何と、定価弐円でした!
そしてもう一つ。
吾一が崇拝し、慕っていた先生の名前が、
何と次野立夫と云う。(五一五頁)
この漢字を使った立夫は、今まで私はお目に掛かった事が
なかったので感激でした。
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