立夫文庫のブログ

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☆父親との確執→その翌年電車との事故。だから暗い!

  題  名:和   解 
            整理番号:B-44           
            ジャンル:日本文学
       読んだ時:平成22年 71才 
            著  者:志賀直哉
            出 版 社:新潮文庫


 内容・感想:
《下の写真は直哉の若い時と晩年》
明治の文豪、直哉。
しかしその著書は何とも陰湿で、読んでて暗くなってしまいます。
彼は明治15年宮城県の石巻にて生まれました。
父は経済界で重きを成した人物で、直哉も学習院の学生時代
だいぶ遊び回ったようです。


それが生意気盛りの18歳の頃、父と衝突。  
あの鉱毒事件を起こした、足尾銅山見学会に参加する直哉を
父が止めさせようと思ったのが原因とか。
24歳の頃、康子との結婚を巡り、父と再度衝突。


34歳で父との関係が、完全に解消するまでの
永きに亘って続いた、心と実際の状況が、
暗く、じめじめと書き綴られているのが
この「和解」なのです。
彼の他の作品も、同じモチーフで書かれているのが、
幾つかあります。 
長女は幼くして熱病で、薬石効なく死んでしまいますが、
その子の名前がなんと「慧子(さとこ)」と言う!
 
90頁あたりにクライマックスがしたためられております。
私も実は馬鹿息子のために泣かされてます。
しかし「和解」を読んで見て、次元が違うなと思いました。