立夫文庫のブログ

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☆今の日本社会に斬新なメスを入れる一冊。

題名:笑う哲学
    整理番号:A-08            
            ジャンル:仏教など
      読んだ時:平成10年  60才   
            著者:南 伸坊
            出版社:筑摩書房



内容・感想:
「昭和軽薄体」は伸坊なら・・・
「平成軽薄体」は俺ダッチュウノ。
おむすび頭の、南伸坊はテレビにまで出てふざけたことを
してるし、書いてもいますが、その実しっかりした哲学を
持っているなぁと思いました。
これを読みながら、最初のうちは馬鹿にしてましたが、
ダンダンと感心させられて来ました。


一人で机に向かって、ルーペをもてあそんで、
何でも見るものが大きく見えるのに、
単純に感激している・・・
と云う事からの発想展開で、兎角、識者は大きく見えるのは
「当り前」で済ましてしまうけど、その辺は自分とは違うと云う。


伸坊に云わせると、識者即ち頭のいい人は、
「ルーペを透して物を見ると大きく見えるものなり」
と云う、頭の中のディレクトリーに知識として集積する。
こんな事は普通の人なら当然のことだと思いませんか?


でも、それは違うんです。
見えたり聞こえたりした事に、不思議がり、何故なんだろうと
探求心と常にフレッシュな心を持ってあたるところに、
偉大なる発明、発見が生まれるのです。


更に彼は云う。
自分は学校の授業が嫌いだった。
何故かというと、過去の人が見つけたような事を、
例えば「レンズを通ると何故、ものが大きく見えるのか、
それは光が曲がっているのに、真っ直ぐに来ていると
錯覚する人間の頭があるからなんだ」と、
そのカラクリに気がついたことを、単に定説として、
先生が一方的に押し付けるから、ちっとも面白くない。
眠くなってしまうだけだと云う訳です。


最初にそのカラクリに気が付いた人は、ものすごく
ウレシカッタに違いない。
だから先生の方も、最初の発見者の感激に沿った
教え方をすべきであるのです。
教わる側の生徒も、面白がるためには瞬間に呆ける、
瞬間に無知の人になる方法を身につけることであるのです。


今の学制には、詰め込み主義がいかに多いか、
そしてそのラインに乗っていかないと、
みんなに遅れをとったようになり、
人生うまくいかなくなる社会体制なのは困ったもんだ・・・
と云われると、確かにその通りと云う気がします。