立夫文庫のブログ

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☆新渡戸の言うように、「目には目を」をやってると、アメリカと北朝鮮も戦争になるよ!

題名:人生雑感
            整理番号:A-3
            ジャンル:仏教など         
            著者:新渡戸稲造
            出版社:講談社学術文庫


内容・感想: 
以前の五千円札に画かれてた、おひげのおじさん。
(現在は樋口一葉)   
この人が新渡戸稲造(にとべ いなぞう)
と言う偉大な人です。
江戸末期に生まれ昭和十年に世を去るまで、
日本を世界に紹介し、国際親善に努め
キリスト教を通じて平和を訴え続けた人、
72歳の生涯を通して実に多忙を極めた
人生であったようです。


この本は実は彼が書いたのではなくて、
彼が国内の各地で行った、大変説得力のある講演を、
彼を崇拝する宣教師が書き留めていたものを本にした
ものなのです。
富国強兵の時代の日本にありながら、堂々と平和主義を
主張している裏には、並々ならぬ努力と配慮が
必要であったと思われます。


大正の初期の事ですが、新渡戸さんが米国より帰国した際、
「いつ戦争やむか」と言うテーマで講演を致しました。
その中で‥‥世界の各国が軍備を拡張する。
相手より強くなければと、お互いドンドン拡張する。
そしてニッチもサッチもいかなくなる。
トドのつまりは人類絶滅まで至ることになってしまう。
だからまあ、やりたいだけやらしてみろ‥‥と言っています。  
 なんと大胆な発言でしょう!
    
しかしその折、彼は同時に言っております‥‥
この度アメリカで多くの人から
『日本人は戦争を好む国民でないか』と言われた。
なるほど確かに日清、日露戦争、満州派兵など
誤解されても無理ない事をやってる。
しかし否、否、世界有史中、日本の徳川時代230年以上の
永きにわたって戦争がなかった国は、日本以外にありましたか
・・・と云うと、そんな国は他になかろうと答える‥‥。
    
さらに新渡戸は論幕を展開します。
‥‥近視眼的に見れば、最近確かに日本は好戦的に思われても
巳むを得ない面もあるが、これとて、みな挑まれて
詮かたなくやったのだ云々‥‥と。


まあこのような調子で、読んでみると実に匠に
説き伏せております。
現代社会に彼が生きていたら、
例えば『イラクの湾岸戦争で日本は何故、平和憲法を盾に、
お金だけ出して派兵しないのだ』などと詰問されたとき、
どのように云うか等々、聴いてみたい事が沢山有ります。