☆帝政ロシアの、ド貧困部落で起きた殺人事件。自分の罪と葛藤した挙句、遂に自首してしまう
題名:罪と罰 上下巻
整理番号:D-05
ジャンル:外国文学
著者:ドストエフスキー
出版社:新潮社
内容・感想:
間もなく明治になろうという時期、
この書は世に出されています。
帝制ロシアのもとでも、著者の思想はかなり刺激的
だったとみえて、シベリアに流刑されています。
レニングラードにあるサンクトペテルブルグは
ロシア第二の大都市ですが、そこを舞台に
非常にGNPの低い一般大衆生活の中で、物語は進行します。
主人公のラスコーリニコフは、頭でっかちの自称尊重主義者で、
極度の貧困から、とんでもない誤った考えを実行に
移してしまいます。
即ち、世の中の小数の悪い奴(自分の判断による)は
どんどんやっつけるべきだ、という考えのもと、
貧しい人からでも、情け容赦なく高い利息で
お金を巻き上げる高利貸しの老婆を完全犯罪で殺してしまいます。
しかも、たまたま運悪く居合わせた、善良なその妹も
殺してしまうのです。
だいたい彼の思考は「ナポレオンだって正義のために
多くの人を殺害しても、英雄と言われているではないか」
と云うのですから始末が悪い考えです。
しかし、その論法も妹を殺す理屈にはなりません。
その辺から自己矛盾に陥り、さんざん葛藤し、
唯一の心を許しているソーニャの説得もあって、
黙ってれば解からなかった罪を、自ら告白してしまいます。
なんとも、読後感の悪いお話です。
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