立夫文庫のブログ

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☆クリント・イーストウッドで映画化された素敵なロマンス

    題名:マディソン郡の橋
            整理番号:D-07
            ジャンル:外国文学         
            著者:ロバート・ジェームス゛・ウォラー
            出版社:文芸春秋


内容・感想:
この本はアメリカで発売後、そんなに急には、
普通のベストセラーが辿るような急激な売行きカーブでは
なかったようだ。
じわじわと、読者から読者へと口伝てで、
広がっていったのだろう。
私がこの本を知ったのは、ゴルフ友達の君江ちゃんから
であった。
「泣いちゃったわ、すっごく好いから、是非読んでみたら」
と言われて、いったいその人気の秘密は何処に有るんだろう、
と思いながら読んでいくうち、かなり引き込まれてしまった。


先ず第一に言えるのは、ドキュメンタリーだと云うこと。
何処にでも転がっているような、男と女の行きずりの恋……。
特に欧米人は、きっかけを作るのがうまいようだから、
こんなのは取り立てて小説になるようなネタじゃあるまいに。
では何故、人々の心を、かくも強く掴んだのか。


僕はこの二人、ロバート・キンケイドとフランチェスカ・ジョンソンの
純粋性だと思う。
そして読者は、日頃の恋に関する考え方と行動を、
反省させられたんじゃあないかと思う。
妻があり、あるいは夫がある人間が、何故新しい恋をしては
いけないのか……と云う
答えは、既に定説で「恋は人間の本能なり」従って、
結婚していようが、いまいがに拘らず、発生してしまうものである。


発生してしまった以上、次に来る問題は二つの選択枝に分かれる。
一つは本能の赴くままに、フィジカル面も含めて、のめりこんで行く道。
いま一つは理性をもって、心の葛藤をグッと押え込んでしまう道。
通常は後者の道をとることが多いだろうが、
ロバートとフラニーの場合は、まず本能のおもむくままに行動し、
後でもって強い理性と精神力でもって完全に蓋をしてしまった。


しかしながら、その火種は心の奥深くで、赤々と灯し続けながら、
永遠にこの世で会うこともなく、一生を終わっている。
先程の選択枝で云うと、先ず前者で思いっきり進み、
大ブレーキをかけて後者を選んだのだ。
そしてお互いに、死を目前にした時、その強い意志表示を
素敵な方法で残している。
とてもロマンに溢れた素晴らしいことだと思った。