立夫文庫のブログ

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☆若き日の鴎外の「性」の懺悔録

            題 名:ヰタ・セクスアリス
     整理番号:B-35             
            ジャンル:日本文学
      読んだ時:平成16年 66才   
            著 者:森 鴎外
            出版社:新潮社


 内容・感想:
この小説のジャンルは、間違いなく日本文学ですが、
「小説」と言うジャンルと云うのには、
いささか言いたい事があります。


例えば、作家で云えば、赤川次郎とか、浅田次郎とか
その辺のミーハー相手の小説は、明らかに
この「ヰタ・セクスアリス」とは違うと思うからです。


前者はトレンドに沿って、面白おかしく内容を作ってます。
後者は作者が、何を訴えたいか、強烈なポリシーがあります。
後者は言い換えれば、小説と言う形式を借りた、
エッセイだと思うのです。


この本の主たる流れは、鴎外の若き日のセックスに関する、
後年振り返ってみている懺悔録です。
彼47歳の時の作品です。
これが掲載された「昴」(すばる)と言う雑誌は
発禁になったそうです。


「金井湛(かないしずか)君は哲学が職業である。」・・・
で始まるこの小説は、ちょっと読みづらい文章で
作られております。
文体も百年近く経つと、こんなに違って来るものかなぁと思うし、
それにやたらと引用されている横文字、
それも英語あり、ドイツ語あり、ラテン語あり、
中国語あり(おつと、中国語は横文字じゃなかったけど)・・・
で、別にひけらかしている訳じゃないんでしょうが、
読んでいてヤンなっちゃいます。


兎に角、140ページのうち、なんと約30%に
当たる40ページの部分が注釈で占められております。
ですから読みながら、その都度注釈をめくってると、
もう大変でありました。


鴎外は自ら、自分が撫細工で、女にもてるタイプじゃないので、
性欲(彼の場合性欲と恋愛をゴッチャにしてる向きがありますが)
の追求に積極的でないようなことを云ってますが、
ほんとは違うんじゃないのかなあ・・・。  
君ならどう思います?