立夫文庫のブログ

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☆お武家様をカモに、お江戸の商人達の儲け方等々

            題 名:百助嘘八百物語
           整理番号:B-31             
            ジャンル:日本文学
      読んだ時:平成16年65才   
            著 者:佐籐雅美(まさよし)  
            出版社:講談社文庫


 内容・感想:
 単に、江戸の事を扱った下らない物語
だと思ったら、大間違い。
江戸時代に、少しも経済的な知識のないお武家様を相手に、
商人達はいかに、ぼろ儲けをしたか、
その方法が解き明かされていくのが、この本であります。


こんなに面白く、且つ、為になる本だとは知らずに、
駅のキオスクでポンと買ったものです。


著者は、江戸時代の経済情勢のプロであります。
「札差」という商人はどんなことをやっていた商人かと言うと、
直参の武家には、そのインカムの方法が二通りあって、
俸禄を土地で受け取っている知行取りと、
お米で受け取っている蔵米取りとがありました。

「札差」は蔵米取りのお武家に出入りして、
そのお米の引き取りとか、売り捌きをやってあげて、
手数料を稼いでおりました。


しかし札差はそんな手数料だけでは、稼ぎが知れてました。
目先の利く札差は、お武家を相手に金貸しを始めて
メキメキと財をなしたと云うわけです。


即ち、これからお武家が受け取るはずの蔵米を担保に、
金を貸して高利を稼ぐようになったのです。


次・・・選挙が近づくと、「〇〇候補と××候補は
どっちが勝ちますかねえ」などと、よく話題になりますが、
そんな時、「おおかたの下馬評では、
〇〇候補が有力でしょう」などと、
「下馬評」と云う言葉がよく使われますが、
この「下馬評」とはどこからきてるのか解かりますか?


江戸時代、昨今のサラリーマンよろしく、
多くのお武家が出勤登城で混雑してましたのが、
江戸城大手門あたり。  
ご門前では馬から下りねばなりません。 
ですからこの辺りを下馬先と云いました。
  
お殿様のお帰りを待つのが、「六尺手廻り」と云われた
お殿様の世話係役たちでした。
彼らは待ってる間、暇ですからいろいろと
噂話に花を咲かしていました。


「河内の守はネ、こともあろうに
百姓女を強姦しちまったそうだよ・・・」とか。
「次の老中は、雅楽の頭様に間違いないようだ」とか。


つまり、ここでいろいろと情報交換された話が、
「下馬評」と云われ、慣用語となったというわけ・・・。