立夫文庫のブログ

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☆華麗に見えるセレブの生活も中を覗くと、決して楽じゃない。

   題  名:華麗なる一族 上中下巻
            整理番号:B-59        
            ジャンル:日本文学
      読んだ時:平成29年 79才  
            著  者:山崎豊子
            出 版 社:新潮文庫


 内容・感想:
鉄平君がとても、可愛そうで可愛そうで、仕方ありません。
彼は万俵コンツェルンの惣領として生まれながら、
絶大なる権力を持つ父親に嫌われ、不遇の運命を歩まされます。


先ず、プロローグの場面は、華麗なる一族の新年の会食から
始まります。
伊勢湾を見下ろす高級ホテルで、主人公万俵大介を中心に
長男鉄平、次男銀平、長女一子、次女二子、三女三子。
そして大介の隣りには妻の寧子・・・と。
そこまでは正常な家族の集まりですが、
大介の左隣りに座っている女性の相子は何と、
大介の愛人なのです。


日本で十指に入る都市銀行の頭取でありながら、
まるでジキルとハイドの如く、二面性を完璧に使い分けている
大介は、この物語の悪の主役です。
「白い巨塔」もそうですが山崎流の冴えた構成です。


時代背景は昭和40年頃、企業合併の始まりの頃、
時の政権は佐藤長期内閣。
神戸銀行と山陽特殊製鋼、そして関西の岡崎財閥がモデルのようですが、
作者はそれを否定しております。
何故なら、岡崎家から猛烈な抗議があったからです。