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☆群雄割拠の戦国時代の、あまり知られていない裏話。

題名:戦国おもしろ讀本
            整理番号:C-02
            ジャンル:歴史         
            著者:桑田 忠親
            出版社:廣済堂


内容・感想:
日本史専攻の小生としては、頗る興味のある本です。
しかし、なんとこの本は偶然小生の手に入ったのです。


仕事で地下鉄に乗った際、座席に遺失物として
置かれていた物をパラパラと、めくるうち
これは神様が小生に「読め」と、
おぼし召されているに違いないと察知し、
有難く拝領してきました。


内容は幾つかのエピソードの寄せ集めになっていますが、
何れも群雄割拠の戦国時代の話題です。
そして、どの章をとってみても面白いヨーンです。


例を二つばかり・・・
結城晴朝(ゆうきはるとも)は、別に小心者ではなかったが
戦乱の時期を乗り切らんが為、あちこちに媚びを
売らねばなりませんでした。


足利に従い、北条に媚び、秀吉を小田原に拝謁しています。
しかし彼にはお家大事のほかに、もっと大事なものが
ありました。
なんと彼は守銭奴だったのです。
  
今のお金で云うと数兆円にもなろうかという
莫大な金銀財宝を、どうしたら誰にも取られないで
済むか腐心していたのでした。
今でも栃木県の結城市の近く、彼の隠居地であった
鬼怒川のほとり、的場城址の地中深く眠っているのです。


次に、天下三肩衝(てんかさんかたつき)のお話。
肩衝とは、かたの付いた、茶道で言う
おこい茶の粉入れ器のこと。


当時、新田肩衝(にった)、初花肩衝(はつはな)、
楢柴肩衝(ならしば)の三肩衝を手にした者は
天下を征すると言われましたが、正にこのチッチャな
名器を巡って種々紛糾したと言います。
いかにも日本的で面白いですね。


三肩衝の持ち主の変遷:
  新田肩衝 *  新田義貞・・珠光→塩屋宗悦→大友宗麟→秀吉
  初花肩衝 *  楊貴妃・・足利義政→徳川家康→秀吉
  楢柴肩衝 * 鳥居引拙・・芳賀道祐→天王寺屋宗柏→
神谷宗白→島井茂勝→秋月種実→秀吉
これら名器達は、秀吉の没後、家康に渡り、
代々徳川家の秘宝となって現代に至っておりますが
何故か楢柴肩衝だけは消息不明となっているそうです。


ついでにもう一つ面白いお話・・・
君はこの時代の三人のヒーローは知っているよネ?
そう、信長、秀吉、家康です。
この三人は云わば、華やかな表面のビッグスリーです。


これに対して暗黒面の戦国三人男とは・・・
松永久秀、斉藤道三、北条早雲です。
彼らに共通しているのは自分一代で、
のしあがったと言うことです。


どいつを見ても、スゲー事をしながら、
のし上がってきていますけど、
久秀の事をば少々ピックアップしてみましょう。


彼は政治の中心地京都に於て、先ず自分の主君に当たる
三好を倒し、将軍義輝を殺して、執権政治を
思うままに牛耳り、出世のためなら手段を
選ばなかった彼は、ついには宗教の権化東大寺の大仏殿をも
焼き払ってしまいました。
そんな男だから、ろくな死にかたは所詮出来ません。
名物茶釜と共に爆死を遂げております。    享年68歳。


最後に、もう一つ、織田信長は粋な男だと思ったお話。
上洛の折り、奈良は正倉院の深窓に、
蘭奢待(らんじゃたい)という香木が有りしを、
そっと一枝切取り、禁断の木ノ実じゃないけど、
凡人の出来ないことをやってる行為は、
ちょっといい感じです。    ・・・ 終り