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☆古の文化濫觴の頃を、タイムスリップしてみましょう

          題 名:ローマは一日にして成らず 上下巻
    整理番号:C-15            
            ジャンル:歴史
       読んだ時:平成24年 73才
            著 者:塩野七生(ななみ)
            出版社:新潮文庫


 内容・感想:
この著者の塩野氏は僕より一つ年上ですが、まあローマを中心とした
歴史を、よく研究して多数の書を著しているのには驚かされます。


しかしながら西洋の歴史の深さは、日本のそれに比べてダントツに古く、
しかも先進していたのは事実であると感じます。


日本は奈良から平安の時代に貴族による荘園制があり、
やがて貴族の用心棒であった武士が実権を握って来ます。
西暦でいえば8世紀から12世紀のことです。
それがあちらでは、紀元前700~500年には
荘園制も存在したのですから。


まあ、ローマを建国したロムルスは遊牧民であり、
ギリシャは海洋を利用した商業経済で潤っていたポリスも
多くあったのですから、日本の島国的立地条件とは一概に
比較できないですが、古くから発達していた点では大人と子供の
差があると思います。


ギリシャ、ローマ、トロイア等の歴史は“ホメロスの詩”あるいは
叙事詩“イーリアス”に引用するところ大と思いますが、
七、八割方は事実と思います。


下巻203ページ。少々本題から外れますが、
キリストは「貧しきものこそ幸いなれ」と言いましたが、
「貧しさに安住するのは恥じである」と言ったアテネの
ペリクレスの考えの方に、より人間らしさが感じられると思います。
ペリクレスはアテネの民主政確立に長期に亘り選ばれて、
貢献した人であります。


下巻209ページに、この本の表題の「ローマは一日にして成らず」
の答えが書いてあります。
ローマが永きに亘り隆盛を保ち得たのは、
・・・曰く、「宗教が異なろうと、人種や肌の色が違おうと
同化を容認した、彼らの開放性ではなかったか」・・・と。