立夫文庫のブログ

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☆美しい地中海沿岸諸国を舞台に、アレキサンダー大王の如く痛快に暴れ回るティラン。皇女カルマジーナとの恋も粋で素敵です。

            題名:ティラン・ロ・ブラン 1,2,3,4巻
            整理番号:D-24       
            ジャンル:外国文学
      読み終えた時:平成30年11月 80才
            著者:ジョアノー・マルトゥレリィ & マルティ・ジョアン・デ・ガルバ
            訳者: 田澤 耕
            出版社:新潮文庫
 
内容・感想:
西洋のクリスチャンの「騎士道」とはそんなに
大変なものなのだと云う事。
日本の「武士道」と比較して如何でしょうか。


著者のマルトゥレリィは15世紀(1413年)
スペイン東海岸のバレンシア地方の生まれです。
美味しいオレンジで有名な、あのバレンシアです。
この地は当時、カタルーニァ王国として、一大文化圏を
為していました。


著者が二人になってるのは、マルトゥレリィが執筆半ばの
55才で亡くなってしまい、ガルバが彼の死後25年を経て
漸く出版に漕ぎつけ、ベストセラーになりました。


分厚な文庫本四巻に亘って、まぁギッシリと書かれていて、
読みづらい面もありますが、内容的にはクドクドと言い回して
いるだけなのでダーッと棒読みすれば宜しいかと思います。


第一巻冒頭はイングランドのウォーウィック伯爵が、
騎士道の鏡として、数々の功績を残したすえ、
隠者となって俗界を離れているところに、武者修行のため
仲間と通りかかった、フランスはブルターニュ出身の
ティランと邂逅する件から始まります。
そしてティランはイングランド王の御前試合で、
次々と強力な相手を倒し、一躍有名になっていきます。


第二巻になりますと、地中海を股に掛けて活躍した
ティランは、シチリア王の要請で、ギリシャ王国の
救済に向かいます。
勇敢極まりない騎士として大活躍のティランの
やっつける相手は、モーロ人です。
モーロ人はイスラム教徒です。
そんな昔からイスラム教とキリスト教は争っていた訳です。
地中海の地図を横に置いて、いろいろ出て来る地名を
チェックすると、より一層ビビッド感が湧いて来ます。


第三巻になりますと、嵐のため船が流され、命カラガラ
たどり着いたのが何とアフリカ北部のバルバリア海岸。
現在のモロッコの辺りのトラミセン王国の海岸。
そこはモーロ人の地ではありましたが、そこでまた
大活躍が始まります。


ギリシャ王国の、最高に美しい皇女カルマジーナに恋をして、
彼女の為なら勇気百倍発揮して戦うティランの前には
怖い者無しです。
バルバリアで培った勢力を引連れて、ギリシャに取って返し、
留守の間勢力を盛り返していたモーロ軍を完全に駆逐して
しまいます。


しかし、Man is motalです。
歴戦の勇者も神のお召しには逆らえません。
若くして遂に、命を閉じてしまいます。
そして愛するカルマジーナも後を追って神の元に召されます。
・ ・・と言う物語てす。


ここで、注釈を二つばかり。
1)「デュカット」とは・・・
   貨幣の単位で、当時一定の基準は無かったものの、
   金貨1枚を1デュカットと呼んでいました。
   当時の金貨は一枚約3.5gでしたので、現在の相場に
   置き換えると、3.5g×4,800円/g=17,000円/コイン
   となります。
2)「ガレー船」とは・・・
   船倉に多くの奴隷を配置し、オールで漕がせた船の事。