☆嘘と地獄のお話。皆さんも思い当たる事ありませんか?
題名:地獄の話
整理番号:A-05
ジャンル:仏教など
著者:山辺習学
出版社:講談社学術文庫
内容・感想:
よく、「悪いことをすると、死んでから地獄に落ちるぞ」
とか「そんなに嘘ばっかついてると、お閻魔様に舌を抜かれるぞ
」等と言う。
現在私達が何気なく使っている言葉の中にも、
仏教から来ている言い回しが以外と多いものである。
地獄の概念は、六道輪廻の思想から来ている。
→地獄→餓鬼→畜生→阿修羅→人間→極楽→
誰でも来世は、極楽に生まれ変わりたいに決まってる。
でも、生きているうちに悪いことばかりやってると、
死んだときに閻魔帖に克明に記された罪状に因って、
いろんな地獄に落とされてしまう。
地獄は大別して、ディズニーランドみたいに
八つのワールドに分かれている。
1・・等活地獄 だんだん凄くなる
2・・黒縄地獄 ↓
3・・堆圧地獄 ↓
4・・叫喚地獄 ↓
5・・大叫喚地獄 ↓
6・・焦熱地獄 ↓
7・・大焦熱地獄 ↓
8・・阿鼻地獄
飛行機の墜落現場などをよく、
『阿鼻叫喚の巷と化した状態です』と言うのは
ここから来ている。
私などはさしずめ叫喚地獄は免れないものと諦めている。
何故なら、この叫喚地獄と言う処は酒呑みがよく
落とされる地獄で、大毘婆沙論に
面白いお話が書いてあるのでご紹介しよう。
ある呑んべえ男が家で酒を呑んでると、
隣家から鶏がまぎれこんで来た。
男はさっそく締め殺して酒の肴にしてしまった。
そこに隣家のかみさんが鶏を探しにきた。
すると男は酒の勢いを借りて、そのかみさんを
とっ捕まえて犯してしまった。
やがて男は官憲にしょっぴかれて尋問されるが、
知らぬ存ぜぬと、しらを切り通して罪を免れてしまう。
さて、この男はいったい幾つの罪を犯して
しまったのでしょうか?
答えは四つ・・・殺生、偸盗、邪淫、妄語。
飲酒が原因となって四つの罪を犯し、
五戒を完全に破ってしまった・・・というお話。
しかし原始仏教が嫌う妻帯飲酒等は、
その後親鸞、一休に至って改められてくる。
先ほどのお話のような、隣のかみさんはまずいけど、
貞淑な妻帯は良かろうとか、酒もほどほどに呑めば
百薬の長だと言われるように、
害のあるもんでないじゃないか・・・等など。
現代ではこれらは完全に常識的になった。
まあ、ちょっと難しい本だけど、するめみたいに
味わい深い本だから、阿含の世界をごゆるりと、どうぞ・・
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