立夫文庫のブログ

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☆江戸の世を痛快に荒らした、和製アルセーヌ・ルパン

       「雲霧仁左衛門」  
    整理番号:B-57       
            ジャンル:日本文学       
            著  者:池波正太郎
            出 版 社:新潮文庫
             読んだ時:平成28年 77才
内容・感想:
この二月(平成28年)に、NHKでテレビドラマ化された作品です。
中井貴一の仁左衛門、内山理名のお千代、観れなくて残念でした。


池波先生は今から凡そ26年前に、白血病で享年67歳の若さで
亡くなりました。
この作品は、亡くなる8年前の発行ですから、池波節の
流れるような名調子がふんだんに発揮されています。


アルセーヌ・ルパンのような、カッコいい盗賊の
仁左衛門ですが、悪は悪。
最後はお江戸の火付盗賊改め役の辛抱強い追求の手に、
組織解散と相なってしまいます。
しかし、仁左衛門と恋人のお千代は、辛くも逃げ切って、
多分、予め隠遁後の棲家として
用意してあった京都の山奥で、余生を送ったのでしょう。


その辺りは、敢えて記述せず、ホァーとさせている点と云い、
執拗に史実を強調しないあたり、作者の筆法は憎らしいほどに
いいなぁ~と思います。
この前に読んだ本が、稚拙なものだったせいか、余計感じました。