立夫文庫のブログ

「立夫文庫」にようこそ! どうぞごゆっくりご覧下さい。
当ブログを、楽しく、為になる読書のナビゲーターとして、ご活用下さい。

☆潤一郎がウォシュレットを見たら何て言うかしら?

「陰翳礼讃」(いんえいらいさん)
整理番号:G-09          
ジャンル:その他      
著  者:谷崎潤一郎
出 版 社:中央公論新社
 読んだ時:平成29年 78才
内容・感想:
日本橋は蛎殻町の生まれ、関東大震災を機に、
京都に移住するまで東京に棲んでいた。
彼の作品は、高校生の頃「痴人の愛」を読んで以来である。


この陰翳礼讃を読むと、彼の暮らしぶり、考え方、
趣向性などが分かって面白い。
無口で、人付き合いが悪く、保守的で,etc.。。。。


本文も面白いけど、吉行淳之介の解説も、なかなか良い。
潤一郎はこの本を、大体昭和24年前後に書いていると
思える(P.153)。
それを淳之介は、約40年後の平成元年頃、
解説して言っている。
曰く・・・「最近では、アメリカ化されて、いろいろな意味での
露出度が強くなっている。」と。
註) 女性など。
そして更に29年を経た現在は、平成29年である・・・。
厠の陰翳云々を言っていた70年前の潤一郎が、
ウォシュレットのトイレを見たら、何と云うだろうか・・・。


懐かしい漢詩が出て来た。(P.97)
蛾眉山月半輪の秋 影は平羌江水に入りて流る 
夜清渓を発して 三峡に向かう
君を思いて見ず 渝州に下る

先日、久しぶりにクリちゃんと荒木町の、
彼女の行き付けのお店の一つである中華レストランで
夕食を共にした。
そのお店が「蛾眉山」であった。
僕はその時、蛾眉山月半輪の秋・・・と口づさんだが、
後が続かなかったのである。


兎に角、潤一郎先生の言ってる事は、面白いし、
興味深々の事だらけだ。
枚挙に暇ない・・・。